『私たちが通ったアメリカの学校ー小・中・高校フィールドワーク』(2011年自費出版,ISBN 978-4-901242-95-0)本書に描かれたのはアメリカの普通の公立学校の生活.あれから早10年・・・みんな元気にしているかな?学校はどうなっているだろう.2012年3月コロラドの春の日射しの中で『私たちの学校の今』を見つける旅が始まった.アメリカ庶民の素顔に迫る写真満載の続編スタート.Time goes by fast!

2012年5月31日木曜日

Ms.B.との再会

 「英語や学校生活は、私が責任を持って指導します・・(中略)・・子どもに日本語を忘れさせてはいけません日本語は親であるあなたたちが、しっかり指導してください」(p35)

Ms.B.は真ん中でWelcome!!
アメリカの学校に子どもを通わせる時、ほとんどの親は、わが子の英語が心配でしょうがない.日本語なんてこの際おいといて、まずは英語!英語!とわが子をプッシュする(私にその傾向が無かったとは言わない).それを見透かしたようなこの言葉.E小への登校初日、G4(4年生)のわが子の担任になったMs.B.の真剣なまなざしは今でも忘れられない.
ただし、こういう親心(?)に国境は無いようだ.あれから10年以上経ってから、日本の小学校に通うことになった子どもの親に出会った.
「当分日本語に集中します。中国語(母語)は日本語に慣れるまではちょっとお休みです」
なんの迷いもない顔だった.私は、何とも言えない違和感を覚えていた.

今回のアメリカの旅で、私たちが一番会いたいと願っていたのがMs.B.だ.あの言葉に彼女のどんな思いがひそんでいたか、ぜひ聞いてみたかったのだ.

彼女は現在、E小とは違う学校に勤めている。私たちはその学校を検索→HPによって探し当てた.Denverの市街地からすぐのところにある、だだっ広い敷地の新設校、大規模校である.校舎は2階建てで複雑に入り組み、プレイグランドには色とりどりの遊具、天井の高い体育館、パソコンの並ぶ図書館など、E小とは比べものにならない充実した設備の学校だ.「E小とずいぶん違うね」と言うと、ちょっと苦笑いを浮かべて
「本当はE小くらいの方がいい.学校全体が把握できて子どものこともみんなわかるから」
彼女らしい言葉だなあと思いながら
「でも辞めちゃったんだよね?」
これにはきっぱりと、
「自分のポリシーとは相容れない問題が起きたからね.あの時、E小を去る決意をした」
やっぱりなあ(何があったか見当はついていた).さすがMs.B.とは思ったが・・・今のE小の子どもたちにとって、彼女の不在はとてつもない損失だから残念でもあった.
Ms.B.の学校の前にも州旗と星条旗が翻る遙か彼方にはロッキー山脈
さて、Ms.B.といえば思い浮かぶのが、カラフルでにぎやかな教室である.これは相変わらずというか、より充実(?)してきた感じだ(下の写真).思わず、子どもの気が散らないかなあと余計な心配をしてしまう.でもそういえば、あの時のわが子は、ど派手な教室に度肝を抜かれながらもわくわくしてたっけね.子どもにとっては夢の教室なのかもしれない.
あいかわらずカラフルで賑やかなMs.B.の教室
本書をプレゼントすると手放しで大喜び.後から校舎内を案内してくれた時、出会う人、出会う人、そして子どもたちにまで本を見せながら、自分のことが書いているp34〜36(Ms.B.の文字あり)のところを指さし(日本語は読めないのに)
「ここにはMs.B.はすばらしい先生で優しくてかっこよくて・・・って書いてあるの!!」
茶目っ気たっぷりの彼女に、みんなも興味津々、ぐいぐい引きつけられていく.あ〜まさにこれよこれ!このノリの良さ!ユーモア、人を引きつける人間性.わが子が彼女のことが大好きで、アメリカ生活の心の支えだったというのがよくわかる。
本書を手に学校の廊下で子どもたちに囲まれるMs.B.

別れ際、私は彼女に聞いてみた.
「登校初日に日本語を大切にしてね!絶対に子どもに日本語を忘れさせちゃだめよと言ってくれたのはなぜ?普通の先生は英語がんばろうねって言うよね?」
Ms.B.は
「私たちは本当にたくさんの間違いを犯してきたの.アメリカに来てアメリカで生活するんだから、とにかく英語を覚えることが一番だと思って一生懸命やってきたの.でもね、そうすることでお母さんと話ができなくなっちゃう子がいるのよね.そういう子を見ていたら、私たちのやって来たことは、なんか違うんじゃないかと思ったの。子どもにとって本当の幸せって何だろうってね.でも私は日本語はできないでしょ.そうであれば親にやってもらうしかないじゃない・・・そういえばわたしも本を書いたのよ.私が英語で書いたのをスペイン語に訳してもらって、こっちからは英語、上下をひっくり返して反対側の表紙に行くと、同じ話をスペイン語でも読めるの」(この本の写真を撮ってこなかったのは私の痛恨の極みです)

We made a lot of mistakes.

強烈な言葉だった.Ms.B.に出会えたことを心から感謝したい.

2012年5月28日月曜日

Baked!って言ってもねえ〜〜(その2)


ではBaked!の謎(?)に迫ってみよう.

手元にあるポテトチップスはF社のLay’s Baked!(以下B)とLay's Classic(以下C).二つとも手頃な食べきりサイズ.H高の自動販売機( 前回の写真)で売っているのもこの大きさで,ランチのサンドイッチやベーゴルのおともに一袋というのが標準的な食べ方である.まずはウリの脂肪の量を見てみよう.C:16g,B:2g,BはCの1/8,カロリーはC:240,B:130,ほぼ半分.わお!こりゃヘルシーだ!!ダイエットにもよさそう(ホントかな).ということで,今度からはBを食べようと思った方いますか?しかし,ちょっと待てよ.よく見ると一袋の量はB:31.8g,C:42.5g.あれっ?Cの方が重い.さらにServing Size 1packageとも書いてある.アメリカの食品のNutrition Facts(栄養成分表)は1Serving Size(ポテトチップスは28g≒15枚)あたりで書いてあるはずなのだが・・・

 実はBとCの本当(?)の値(1 Serving Size=28g≒15枚あたりの数値)は下の表のようになる.

* “ヘルシー” ポテトチップスには,P社のポップチップス(以下P)もある.(油で)揚げる,焼くではなく,高温で圧力をかけて作る.日本のポン菓子に似た製法である.参考までにその値も加えてみた.Pはかなり塩からそうだ

 同じ量で比べれば,Bakedの脂質は1/5,カロリーは3/4.確かに脂質はおさえられている.看板に偽り無しと言えるだろう.カロリーは「わお,半分!」と喜んではいけなかったようだ.一方,炭水化物はBakedの方が1.5倍になる.糖分も量が少ないとはいえ倍以上.脂肪に目が行きすぎると,ここを見落としてしまいそうだ.注意,注意!!

 BとC(食べきりサイズ)のように,Nutrition Factsが1袋当たりで書いてあると,実際に自分の摂取する量が見ただけでわかる.いちいち計算しなくても良いから便利だ.気になるのは二つの袋の量が違うこと.この場合,私も一瞬錯覚したわけだが,総量の少ないBを実際以上にヘルシーに感じてしまう危険性がある(もしかして,そう感じさせるようにわざとBの量を少なくしている?というのは考えすぎだろうか).そうなると心配なのは,それまでCを食べていた人がBに乗り換えた時,(量が少ないから)物足りなく感じて「ヘルシーなんだからもうちょっと食べてもいいよね」となってしまうことだ.「人は低脂肪食品を食べる時,罪悪感を感じない」(コーネル大学の研究より*)そうだから,この可能性は大いにある.そうなると果たして,H高の自動販売機は肥満対策,健康対策として良いのやら悪いのやら?
 ところで罪悪感を感じない!というのは,アメリカのスーパーで買い物をする時、ついローファットに手が伸びる私にはホントに耳が痛い言葉だ.ただし最近の私はもっと複雑だ.罪悪感を感じないことに罪悪感を感じ始めているのである.ややこしい言い方だが、要するに『低脂肪だからちょっとくらい多く食べても大丈夫だよ〜〜』と自分に甘くなる→うまく乗せられてしまった→くやしい!という感じだ.まあどうあがいても、結局は自分が賢くなって気をつけるべきことなのだが・・・それにしてもいちいち計算するのは面倒だ!


 だからというわけでもないだろうが,アメリカでは2004年頃から1パッケージ100キロカロリーというスナックが発売され,人気になっている(本書p207で触れたが,今回実物を見ることが出来た.日本でも売られている).Nutrition Factsは一袋あたりで書いてある.いちいち計算しなくてもいいのでとてもわかりやすい.量自体もそれなりに手頃(「たったこれだけ!」と失望する人が多いとか)だから食べ過ぎ防止にも効果がある(?)はずだ.同じ量のスナックでも,複数の小袋(100キロカロリー×4)を手にする方が,袋(400キロカロリー)より,食べる量が少なくなるという調査結果もある*

日本でも売っています

1袋90キロカロリーもあり
 このように手を変え品を変え,次々に“ヘルシー”(低脂肪,無糖,低カロリーなど)を掲げるスナック菓子が売り出され,実際にそれが売れている.これが国民的肥満が大問題になっているアメリカの現実である.私なんか「そうまでして食べたいかなあ」と思うのだが・・・そうまでして食べたい人と,そうまでして売りたい企業のいたちごっこ(?)はまだまだ続きそうだ.

大バケツポップコーンを子どもに持たせるのはだれだ!
*Brian Wansin(2006)Mindless Eating: Why We Eat More Than We Think will literally change the way you think about your next meal. ISBN 978-0-553-38448-2

2012年5月16日水曜日

Baked!って言ってもねえ〜〜(No1)

「アラバマのある学校では・・・ポテトチップは焼かれた(Baked)ものになった」(第4章 その後のアメリカ:p226)


アメリカでは油脂分の摂りすぎが大きな問題になっている.油で揚げてないBaked(焼いた)ポテトチップスは,その対策として有効なのだろうか?


本書第4章では,スクールランチや子どもたちの食生活について,かなりしつこく追究した.私自身が3年間,ほぼ毎日E小のランチルームに通い,そのあまりの惨状(?)を目の当たりにしていたからだ.こんな食生活を続けていたら,あの子たちは将来どうなっちゃうんだろう.ただし,4章の最後では「その後のアメリカ」と題して,アメリカの学校のスクールランチにかなりの変化が見え始めていたことも報告した(2003年以降).では『変化』第一弾 Baked!

これはH高で見かけたスナックの自動販売機
一部拡大すると Baked!














Smart Mix
スーパーマーケットでは,こんなものを見つけた.スナック小袋の詰め合わせはお弁当にぴったり.Baked! Baked! Baked!












これは参考までに.あるホテルにあった普通のスナック自動販売機.キャンデーやチップスが並んでいるが,この中にBakedのものはなかった.
左の販売機の一部を拡大




確かにH高の自動販売機では,Bakedのスナックがかなりの部分を占めている.ソーダ(炭酸飲料)を持ち歩く生徒も,わたしたちが見たかぎりではあるがほとんどいなかった.R先生(H高アドミニストレーター)は,炭酸飲料や健康的でないスナックは校内では売らなくなったと断言してくれた.いやはや,あの頃から比べれば何という違い!しかし,ちょっと待てよ.Fat FreeやReduced Fatには大きな落とし穴があった.確かに脂肪分は少ないけど,その分,ほかにしわ寄せ(?)が出てくる.Baked!はどうなんだろうか?私の探求心がムズムズしてきた.ということでここから先は次回をお楽しみに

2012年5月11日金曜日

おとな(?)の遊び

「こうして毎週金曜日の放課後,私は3人とじっくり向き合うことになった(注:日本語教室).レッスン後,そのままお泊まり会(スランバーパーティー)に突入したり,週末にはプールや映画にも連れて行った」(第7章-3たくましきバイリンガル家族G家:P311)

Night Life in Denver(右手に見えているのがロッキーズの本拠地クアーズフィールド)

当たり前のことなのだが,10年前,あの子たち(我が子も含む)は皆,小,中,高校生だった.みんなで一緒に本当によく遊んだ.映画(昼),プール,遊園地,お泊まり会・・・それが今では最年少組でも21才.立派な(?)おとなである.特に21というこの数字,アメリカでは非常に大きな意味を持つ.まず飲酒解禁が21才.レンタカーの運転も21才から.おかげでW君は,みんなを何の憂いもなく,おとなの世界へといざなってくれた.

ではW君,Bさん(W君のすぐ下の妹:やはり本書の重要登場人物,目下教師を目指して勉強中),Cさんとその仲間たちは,何をして遊んだのか?                                                                                       
ピーチリータ
マルガリータ
まずは一日目.仕事を終えたW君の案内で近くのモールへ.メキシコを代表するカクテル,マルガリータを堪能.テキーラという強いお酒を使うカクテルだが,みんなへっちゃらなんだとか.そして10年のブランクをいっぺんに埋めるように,話がはずむ,はずむ.それから深夜映画(『ハンガーゲーム』)へ.帰宅後,W君は3時間睡眠で出勤.店の責任者は休むわけにはいかないようだ.
ラクロスの試合(@ペプシセンター Denver)

すごいボリューム!!



翌朝,W君以外はお寝坊(CさんはスーパーWの店員だが,末っ子が来るのに合わせて休暇を取ってくれた).夕方からダウンタウンへ.まずはラクロス観戦(夕食はメキシコ料理のナッチョス:左写真).一転しておとなムード満点のクラブでダンス(下の写真).G家に戻ってきたのは明け方3時だったそうな.



それにしても,みんな体力あるねえ.若いっていいですなあ.わが子は言う.
「10年前は子どもだったからね.そりゃ(子どもとして)楽しかったよ.でも今回はおとな!ですから.初めての所にたくさん行けた.今まで気づかなかったこともたくさん発見できた.スーパーマーケットに行っても,自分の感じ方,関心が全く違っていたよ(そりゃ今は一人暮らしだからなおさらだね).それにダンスとか深夜映画とか,これは親と一緒じゃ絶対に味わえないよ.これこそ今回の訪問の醍醐味!!!」

若者には若者の世界がある.W兄貴,本当にお世話になりました.
自分たちだけではちょっと・・・でも兄貴がついている!!

*アメリカでは16才で車の運転免許がとれる(州によって多少の違いがある).しかし,すぐに自分専用の車がもてるわけではない.公共交通機関も発達していない.車が自由に使えない子どもは,外出を親に頼らなければならず,基本的に行動の自由はないと思った方がよい.
*ラクロス観戦:デンバーにはマンモスというプロチームがある.W君が元同僚(サブマネージャー時代の店舗の仲間)とより一層親睦を深めるために,月1回設けている『スポーツ観戦デー』の一環.