『私たちが通ったアメリカの学校ー小・中・高校フィールドワーク』(2011年自費出版,ISBN 978-4-901242-95-0)本書に描かれたのはアメリカの普通の公立学校の生活.あれから早10年・・・みんな元気にしているかな?学校はどうなっているだろう.2012年3月コロラドの春の日射しの中で『私たちの学校の今』を見つける旅が始まった.アメリカ庶民の素顔に迫る写真満載の続編スタート.Time goes by fast!

2012年9月3日月曜日

ヤングマザー奮闘中!!

4年前,私は目を疑った.突然舞い込んできた一通のメール.そのタイトルは
わたしのあかちゃん!!(原文はスペイン語)」
本文は無く写真が数枚. どれも生まれたばかりのあかちゃんの愛くるしい顔が写っている.あの「あかちゃん」が,この(2012年)夏から幼稚園(Pre-school)に通うという.

仕事中のCさん
本書の中心登場人物であるG家3人兄妹.10年の時を経てそれぞれに成長した.お調子者で楽観主義,かなりテキトーでいいかげんだったW君.おきゃんでおしゃべりでちゃっかりしていたBさん.ふたりは紆余曲折はあったが,今は着実に自分の道を歩んでいる.しかし,あの頃一番堅実で思索的だったCさんが,その後こういう道を歩むことになるとは・・・

Cさんはうちの末っ子と同級生である.ということは、あのメールをもらったときはまだ17〜18才.一方が大学受験に向けてヒーヒー言ってるときに、かたや「あかちゃん誕生!!」.このたびはその顛末をじっくり聞かせてもらおうじゃないの!!

夜遊び(本ブログ第2話)の翌日、私はG家を訪ねた.いくらノックしても誰もドアを開けてくれない.全員爆睡中のご様子だ.何度目かのトライでようやくドアを開けてくれたのは小さな男の子.誰の子だ!不用心だぞ!(実際、アメリカで生活するのなら、こんなことはしない方が良い).文句を言いそうになったその瞬間,はたと思い当たった.
「Are you C's son?」
かすかにうなずいた.どうやら英語よりスペイン語の方がいいらしい.

Cさんと息子とその若き父親は,近くのアパートに住んでいる.しかし実際はほとんどG家に入り浸りだ.一緒にランチを食べている時も,子どもの世話はG家のお母さんに任せっぱなしである.若き父親は客(私)に遠慮したのか,テレビを見ていてランチに合流せず,子どもも全く近寄ろうとしない.肝心のCさんは、息子にも"ダンナ"にもつれなくそっけない.正直言って私は「これってどうなのよ?」と居心地が悪かった.もう4才になるのに,あまりに若くして母親になったCさんは,まだ現実を受け止め切れてないのかなあ・・・しかも,W君も“ダンナ”に対してえらく冷たい.まあ,かわいい妹に手を出したヤツに愛想良くしろと言っても無理な話なんだろうけれど.

「初めて妊娠を告げられたときどう思った?」
私はG家のお父さんに単刀直入に聞いてみた.
「そりゃびっくりしたし許せなかったよ.しばらく怒りがおさまらなかった.正直言えば今でも怒っている(苦笑)」
おかあさんも
「子どもが信用できなくなったね」
そうだよねえ.親としては「まだ高校生でしょ!!どうするつもり?」となるだろう.ましてや敬虔なカトリックファミリーでもある.それでも御両親は、最大限子育てを助けている.というか実際はほとんどG家母さんが育てているようなものだ.そしてG家には今でもW君,Bさん,Dさん(あの頃赤ちゃんだったG家の末っ子)が一緒に住んでいる.Bさんのフィアンセもしょっちゅう来る。だれもが交代でC息子の面倒をみる.メキシコ人大ファミリーにとっては,子育てはみんなでするのが当たり前だから,その点は恵まれている(頼れるから母親の自覚を目覚めさせないとも言えるのだが・・・).
「とにかく正式に結婚してないし,すべてきちんとするまで絶対次を産んではダメ!」
お母さんは娘にきつーいお灸をすえたそうだ.

「ところでお産はどうだった?」
「そりゃ痛かった!!」
「え!?麻酔使わなかったの?アメリカではみんな使うのかと思った」
「そんなことないよ!私は無しで耐えたんだから!!!褒めてくれる?ねえ(うちの)3人の時はどうだったの?」
「そりゃ〜たいへんだったよ.それぞれ全然違うんだから〜〜」
あれま,Cさんとこんな話で盛り上がるとは夢思わなかった.経験者ならおわかりになると思うが、お産の痛みの連帯感は強い!!言葉の壁なんて関係ない.Bさんもつられて興奮気味だ.
「あたし、ずっと一緒にいたんだけど、赤ちゃんが出てくるとき、感動して泣いちゃった!」
Bさんが立ち会いというのも大胆なもんだ.日本なら「(未経験者には)産みの苦しみはまだ見せなくてもいい」なんて言いそうだけど・・・感動して泣くというのは、これは素直なBさんらしい.W君も病院で見守ったというが、どの瞬間までいっしょにいたのだろう?メキシコ人ファミリーの絆が強いのはいいが、これじゃパートナーの出番は無さそうだ.G家の婿さんの立場というのは,(家族の仲が良すぎて)気苦労が多いだろうなあと同情してしまった.ただし残念ながら、あれから二人の間には大波風が立ったらしく、彼は正規の婿さんにはなれそうもない.

どういうわけか、Cさんと我が家の末っ子のE小時代のクラスメートには、ヤングマザーが多い.今回わかっただけであと3人はいる(みんなシングルマザー).ハイスクール時代にいろいろなことが思うようにいかず・・・そんなこんなで類は友を呼んだ(?)らしい.ちなみにBさんの友達にはまだヤングマザーはいないとのことだ.

お産の話はもりあがったが、私はG家を後にしてから、気持ちがもやもやしていた.子どもへだけでなく、Cさんの態度、雰囲気全般がとても気がかりだった。はっきり言うと「なげやり」という言葉がぴったりだった.お化粧、アクセサリー,ヘヤースタイルなども含めて、自分の娘がああだったらどやしつけているところだ.


そんな気持ちを抱いていたが,後日,末っ子と一緒にCさんの働くスーパーW(W君とは違う店)へ行ってみた.私たちが欲しかったものを従業員価格でサービスしてあげると約束してくれたからだ.お店に行って本当に良かった!!Cさんは髪の毛をきっちりと束ね、あの「投げやり」な雰囲気が嘘のようにてきぱきと働いていた.パートナーとの関係も微妙だし、しばらく子どもは母親任せになっちゃうけど、今はとにかく独り立ちするために働かなくちゃ!!と言う.どうにかして自分と子どもの道を切り開こうと,手探りだけど必死ということのようだ.そういう気持ちになってるから、みんなが助けてくれるのだろう.母親になるのはかなり早過ぎたけど,何せまだ若い!!何事もこれからさ,Cさん!!